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「100年生きたら、おもしろかった」と誰もが言える世界の実現

介護で苦しむ人がいない社会の実現

 

(Nurse and Craft合同会社、広島県呉市)

· 地域性:中都市,運営(起点):医療・介護,取り組み:その他,資金:自己資金・医療保険・介護保険・助成,日本 JAPAN

〈コンセプト・特色〉

断片的である医療・介護・予防をひとつなぎにし、介護で苦しむ人がいなくなる社会をつくります。

〈概要〉

当社は、瀬戸内海の真ん中にある人口約1,500人の大崎下島を拠点とし、日本の介護問題にチャレンジしています。私たちは、特に「機能不全に陥る社会保障制度」と「働きたいのに働けない医療介護職の存在」に問題意識をもち、それらに対して、「新しい暮らし方」と「新しい働き方」で解決を図ろうと試みています。

 私たちの取り組みは、パラレルワークを前提とした働き方で島しょ部の過疎地に医療介護人材を呼び込み、まちに点在する医療介護職は住民の健康を見守るため、人々が健康なときから日常的な交流を通して関わり、顔の見えるコミュニティづくりとテクノロジーの力で病気の予防と健康増進を進め、高齢者の健康状態をできる限り維持し、介護期間を短くするというものです。

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〈運営主体〉

「Nurse and Craft 合同会社」

当社は、広島県呉市豊町久比にあります。呉市街から車で1時間ほど瀬戸内の島々を渡ったところに位置します。久比の人口は約400人と少なく、高齢化率は75%にもなります。若い人はほとんど見かけません。

会社は2019年8月に設立し、訪問看護事業は2020年1月からスタートしました。過疎地では、人口減少と少子高齢化、産業の衰退、医療介護人材不足などによって地域医療が成り立たず、課題が山積しています。そこで、私たちは過疎地の地域医療を持続的に成り立たせる事業構想を立てました。ビジョンに共感し集まったスタッフの半分は県外から移住してきており、良き未来をつくるために日々尽力しています。

〈取り組みをスタートした時期〉

2019年1月1日

〈取り組みをスタートしたきっかけ〉

当社は、一般社団法人まめな(広島県呉市豊町久比)のまめなプロジェクトから生まれた会社です。まめなプロジェクトでは、「くらしを、自分たちの手に取り戻す」をミッションに、介護やテクノロジー、教育、農業、多拠点生活など多角的に取り組んでいます。

2018年から水面下で進められていたまめなプロジェクトの中核となるテーマが、「介護のない世界」の実現でした。「介護のない…」とは、即ち、介護で苦しむ人がいなくなる社会をつくるということです。現地の調査から、島しょ部特有の問題・課題を洗い出し、それを解決するために「Nurse and Craft」を設立しました。

当初、最も大きな問題として挙がっていたのは、訪問看護ステーションが島しょ部になかったために、「自宅で死ねない」ということでした。私たちは、この大きな問題から取り掛ることを決め、まず訪問看護ステーションを開設することになったのです。

〈運営コスト〉

ランニングコストは、保険収入と保険外収入のハイブリットで賄えることを目指しています。保険外収入のための事業開発はいくつか開始しております。それらの構築に時間はかかりますが、日本の未来を良くするビジョンを掲げ、地域の課題を解決することで、持続的な地域医療を実現できる可能性を感じています。

〈運営資金の確保〉

自己資金、事業収入、融資、クラウドファンディング、補助金・助成金など

〈これまでに苦労したことと、それをどのように乗り越えてきたか〉

苦労と感じることの一つは、地域に入ることです。島しょ部で過疎地でもあることから閉鎖的な側面もあります。乗り越える方法は、時間と実績のみです。時間をかけて地道に実績をつくるしかありません。その結果、少しずつ受け入れてくださって来ているのがわかります。もちろん、始めから理解してくださる方もたくさんいらっしゃいます。

もう一つは、資金調達です。補助金や助成金など国からの支援もありますが、もう少し、この国に寄付文化が醸成してほしいと感じており、大企業の内部留保や個人のタンス預金などがよい形で社会に回ることを望んでいます。

〈うまくいっていること、やってよかったと思うこと〉

やってよかったと感じるのは、訪問看護の利用者さんやご家族から感謝されたときです。病院が遠く、訪問看護ステーションがなかったこの地域では、自宅で最期を迎えることはとてもハードルが高いことでした。しかし、我々のサービスにより、最期まで自宅で暮らせるのだと希望を抱いてくれる人が増えてきたことを、とてもうれしく感じています。

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〈うまくいっていないこと、今、悩んでいること〉

うまくいっていないということはないのですが、すぐに結果が出そうにないと思うことはあります。それはスタッフの成長です。当社は、パラレルワークが前提であり、当然ながら事業開発も行います。しかしながら、スタッフの多くは従来の病院勤務の経験しかありません。また、学校教育の影響も強く残っていると思いますが、自発性やクリエイトする力、固定観念にとらわれないように物事を考え、行動することは苦手のように感じます。

ここでは脳の使い方を変えなくてはならないので、戸惑いも多く、悩んでいるのではないでしょうか。一人ひとりがディレクションとクリエイションができるようになるまでに、時間はかかるなと実感しています。

〈持続させるための仕組みや工夫など〉

当社においては、パラレルワークによって自己実現ができるというのが一つの要素であると思っていますが、日々の事業活動においては、役割を与えることと任せること、それと失敗する権利を奪わないことだと考えています。役割を与えてもらえないと自信をなくしてしまいます。任せてもらえなければ、成長は止まってしまいます。失敗する権利を奪ってしまっては、チャレンジすることをやめてしまいます。

人なくして事業はありえないと考えており、人の成長なくして事業の成長もありません。「自分で考え、自ら提案し、皆の理解を得て、率先して実行する」が私たちのバリューです。年齢や立場は関係なく、意見を言うこと、意見を聞くことを大切にしています。

〈今後のビジョン〉

私たちのビジョンは、「100年生きたら、おもしろかった」と誰もが言える世界の実現です。頼りにできる家族が近くにいなくても、病気や怪我をしても、認知症になったとしても、誰もが自分の家で自分の町で最後まで楽しく暮らせるようにすることが私たちの使命です。 

考えてみればこれは当たり前のことですが、しかしながら現実は異なります。多くの人は自宅では死ねません。病院です。「人生の最期に食べたいものは何?」と仲間内の会話によく出てきますが、多くの人が人生の最期に食べたい物も食べられません。いつの間にか、暮らしが自分たちの手から離れてしまいました。私たちは、それを取り戻そうとしているだけです。

■事業名:「100年生きたら、おもしろかった」と誰もが言える世界の実現

■事業者名:Nurse and Craft合同会社

■取材協力者名:深澤 裕之(Nurse and Craft合同会社代表社員)

■事業所住所:〒734-0304 広島県呉市豊町久比302-2

■サイト:https://nurseandcraft.io/

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