〈コンセプト・特色〉
『介護情報誌クレセント』を通じて、現場で働く方が能動的に発信する環境を創造
〈運営主体について〉
「株式会社クレセント」
①広告主として
スギ薬局、トヨタカローラ名古屋、𠮷野家、銀のさら、AMEXなどの大手企業に加え、病院、各種士業、飲食店、行政機関などからの協力を得ています。
②相談窓口として(介護現場)
現場での個人的な悩み、組織づくりなどの相談対応窓口として、個人・介護事業所などから問い合わせを受け、解決に向けた助言などを行っています。
③相談窓口として(民間企業)
新商品・新サービスの導入に際しての相談や提案をアドバイスしています。
④相談窓口として(個人)
在宅介護、終末期におけるACPや家族ケア、グリーフケア、生前整理に必要なノウハウ(相続や葬儀、転居や転院等)に寄り添い、解決に向けて取り組んでいます。
〈取り組みをスタートした時期〉
2018年9月(企業、創刊号発行)。1年半前より準備しました。
〈概要〉
『介護情報誌クレセント』
■発行詳細
・月刊誌(32ページ)として年10回(1月・8月休刊)
・発行部数は、3000部(すべて無料郵送)
■送付先
・愛知県社会福祉協議会(各市町村)
・愛知県内 地域包括支援センター(各市町村)
・愛知県医療法人会・愛知県老施協・名古屋市老施協
・愛知県内 行政機関(介護関連等)
・愛知県内 大手介護施設(ニチイ、SOMPO、co-op・生協等)
・その他(大学及び専門学校、有名セミナー講師、政治関係者等)
■具体的内容
①介護業界の方々が能動的になれるような人物や取り組み、新商品・新サービスなどを取材し、インタビューや感想などを文字と写真で掲載し、QRコードを用いたオンラインへの誘導を行った「介護情報誌」です。暮らしの中に「介護」が存在するという考えの構成となっている情報誌のため、固定観念にとらわれることなく、多くの企業やサービスを紹介しています。
②SNSとの連動により、介護現場からの相談、民間企業の新商品や新サービスのアドバイス、地域の方々からの相談窓口として、全国各地からの要望に応えています。
〈取り組みのきっかけ〉
①ノッポさんのデイサービスを運営(株式会社セイホー取締役)している際に、介護現場における発信の乏しさを実感しました。
②SNSなどにおける発信も一方的な発信であり、相互に交流する発信形態がありませんでした。
③人材募集や新商品のアナウンスがすべてFAXで流れていました(自施設の紙を勝手に無駄使いされていました)
介護保険サービスの特性が、決められた制度に則り、決められたサービスを提供することで、決められた介護報酬を得られるビジネスモデルのため、新しい取り組みやサービスの提供をよしとしない傾向があり、受動的な文化や人が多く見られました。
しかし、そのサービスを提供している従事者に「自分の事業所や施設を利用したいか?」と聞いてみると、ほぼ大半が「NO」と答えたため、能動的な変革が必要と感じて『介護情報誌クレセント』を通じ、まずは介護従事者(関係者)から能動的にしようと発行を決意しました。同時にオンラインなどに関する業界全体の遅れも感じたため、SNSなどとの連動も含めた展開を行いました。
〈運営コスト〉
■資金調達
介護業界からは一銭ももらわない、というコンセプトを、現在も継続中です。
①『介護情報誌クレセント』への広告出稿
②アドバイザリー契約による企画提案や企画会議参加など
③動画制作
④パンフレットや雑誌制作
⑤セミナー講師や講演活動
⑥物販など
■取り組みや工夫
『介護情報誌クレセント』は、現在はフロントビジネスに過ぎません。本誌をツールとして様々な分野に向けて「介護」の魅力を発信しながら、暮らしの中に「介護」が存在することを理解していただいています。
一石二鳥にビジネスが展開できる状況ではないため、現在の地道な活動が今後に生きると感じています。その実感は、月日の経過とともに大きくなっています。その原動力は「地域の声」が大きくなっているということです。「介護」や「死」は突然やってくること、多くの決断を知識のないままに行わないといけないことが、少しずつ浸透してきていることを、それぞれが実感するようになり、その方々は、介護業界だけでなく民間企業などに働く人も含め地域に増え、企業人としての感覚から「個人」としての意見も加わり、シニア・高齢者・健康などに波及し、理解が深まってきているように思えます。
『介護情報誌クレセント』の出版活動は、あくまでも準備段階で、雑誌発行するための行動自体が「工夫」の連続であり、遠回りしている行動すべてが、地域を巻き込むための「最大の工夫」であると感じています。
・介護職員の能動性 → 民間企業の視点変革 →地域住民としての自覚 → 地域が変わる
〈運営に必要な費用概算〉
150万円/月
〈運営資金の確保〉
自費、広告出稿、物販、セミナー講師料など
〈持続させるための仕組みや工夫など〉
■持続するための工夫
関心の持てる業界・業態への変革が、大前提で必要であると考え、そのためには、現場を「楽しく! やりがいのある! 魅力的に!」演出する必要があると考えています。そのために常に新しい提案や行動を見せていく必要があり、徐々にスピードアップをする必要も感じています。
■仕組みや工夫
「衣食住」に代表されるように、生活に密接した課題を介護業界に取り込み、その中で生まれた新しいカタチを地域に発信しています。
名ばかりの「地域包括ケアシステム」は住民が理解するのが難しく、もっとわかりやすい表現やカタチを見せていくためには、介護現場がその舞台となり、理解するための事例を動画や画像を用いて説明する必要があります。
子どもに対する制度改革は、革新的である一方、シニアや高齢者に対する制度は、固定観念の中に固められ、未来を見据えた提案がなされていない傾向があります。スマホを使える世代を見据えた改革を行って、シニア世代に対する学びや、老いながらも向上心を保てるような仕組みづくりも、必要ではないでしょうか。
「もう一歩!」「少し、先へ!」などといったキャッチフレーズで、シニア世代を動かしていきたいと思います。
〈これまでに苦労したことと、それをどのように乗り越えてきたか〉
①「無いものを創造する」
「介護情報誌」という言葉を創り、雑誌を発行するのが「何のためなのか」を理解してもらえるまでに、時間を要しています。
「風が吹けば桶屋が儲かる」という言葉がしっくりくると感じますが、理解できない言葉を理解してもらうために遠回りをして、より多くの業種業態の方々と出会い、趣旨を説明し、同時に運営資金を得ながら継続していかなければなりません。
途中でやめれば「失敗」「やっぱり!」と言われかねないため、ビジネスライクにならないように継続していくことでも苦労してきました。現在も格闘中です。
②「守破離」「温故知新」
ただ単に「新しいものを創造したいわけではない」ことへの理解を深めるため、自身で介護事業を運営し、かつ現場での活動も同時進行しました。そのうえで、この活動が有意義であり、必要であると唱え、新しいものを創造している! と理解を求めることも苦労してきたことです。
③古い体質と古い世代と古い固定観念
能動的に動き始めた関係者の大半は「20代・30代・40代前半の方々」でした。必然的に50歳の私が付き合っていく中で信頼を得るためには実績が必要で、経験や実績を可視化するため、本誌の発行やSNSなどの強化は、厳しいながらもストレスはなく、楽しみながらできました。一方で「古い~」というものに対する説明や理解を求める活動には、「苦」しかありませんでした。しかし、若い人材の信頼を得るためには、その道を打破する必要があるため、「地雷屋」として突拍子もないアイデアやタブーとされている課題や話題に対しても積極的に一番初めに走っていく必要があり、多くの諸先輩方や「古き~」から叩かれたり、非難されたりすることも多くありました。もう一度書き記しますが、「苦」でしかなかったのです。
しかし、突破できなければ他のルートを探り、「可視化したり、実現したり、継続していく」という成果を上げることにより、次世代を担う方々が募ってきてくれたことは、今となってみればうれしい試練だったのかも知れないと思います。
〈うまくいっていること、やってよかったと思うこと〉
■うまくいっていること
①『介護情報誌クレセント』や「関連する取り組み」を説明し宣伝する前に、「ノッポさん」という個人を知ってもらう活動を行ってきたことは、「ノッポさんのブランド化」も図れたと同時に、多くの取り組みに対して「地域」や「業界」などに安心感を与えることができました。
②介護業界だけでなく、多職種や異業種とのつながりが広く深くなり、日を追うごとにスピード感が増していると感じています。最近では、「clubhouse」を通じた活動が1カ月強の期間で実現できるまでとなっています。
③介護業界からの発信が、行政や医療・メディアを動かすことができている点も、うれしく感じています。
■やってよかったこと
①多くのシニア世代や高齢者に対して、選択肢が広がった点です。食事やサービスなど、固定観念の脱却は進んでいると感じています。しかし、まだまだの気持ちで取り組んでいきたいと思います。
②全国の方々からの問い合わせや訪問が、年々増えている点です。世代や業種・職種もバラバラ、地域も全国各地であるため、私としても学ぶ点が多くあります。
③地域や一般の方々からの相談事が増えている点です。介護保険や医療・行政機関では対応できない事例などの相談が増えることで、問題の傾向などを把握できます。また、「ノッポさん」というフレーズから「何とかしてくれる」という安心感を抱いてくれることに、向上心がさらに湧きたてられます。
〈うまくいっていないこと、今、悩んでいること〉
うまくいっていないことは、道半ばのため、特に感じていません。
今、悩んでいることは、次のことです。
①時間を要す
②結果を見るまで、理解してもらえない
③業界人や知識人の視野が狭い
④内向きの発信が多い(業界内の有名人を、他業界の人は誰も知らない)
⑤技能実習生や特定技能で来日している方々を本当に教育できるのか
⑥自分自身が受けたいサービスを提供していない
⑦FAXがメインツール
⑧人材不足を仕事や業界の責任だと感じている
⑨介護保険で得た利益を従事者以外に多用している(人材派遣や人材紹介会社、HP制作等)
⑩地域の方々に対しての「眠たい」アナウンスが多い(興味を持たれていない)
悩みは多くありますが、課題があることは「やる気」につながります。「今までは……」という思考を取り払い、あえて新しい取り組みに導くため、「業界を動かす」という大きな課題克服が必要です。しかし、ゆっくりしたペースを確保することも重要であると考えます。
この矛盾の中にいる「自分が好きなのかもしれない」と感じることも多々あります。
〈今後のビジョン〉
■今後の企画案
介護情報誌クレセント「楽」イベントから創り出す、地域創生プロジェクト!
①「意識して、歩く!」から、町をデザインする。
・プロのランウエイモデル・登山家の方々は、「歩く」を意識しているプロフェッショナル!
・その方々の「歩く」をモーションキャプチャーなどで徹底分析した後に、ティーチングを行う!
・効果:健康寿命を延ばす。商流を生む。交流を育む。文化継承。安心安全な町づくり。
(企画書アリ。2021年3月25日にファッションショー実施、その後の展開へ)
②若者が中心となる「#カッコいい」から、町をデザインする。
・「親×子」「嫁×姑」は仲が悪いけれど、「孫」というフレーズを用いて、ワンクッションある関係性は、比較的良好である。
・「おじいちゃんにお年玉をもらった」「ランドセルは、おばあちゃんに買ってもらった」など、若者世代は高齢者からプレゼントは多くいただいており、その恩返しをすることへの抵抗は少ない。
プレゼントすることが「#カッコいい」というフレーズをインフルエンサー的に拡散して、「洋服や靴やバック」などの商品のプレゼント、もしくは、「エステやマッサージや旅行」などのサービスのプレゼントを促します。「プレゼント」はこれからのキーワードであり、「プレゼントする→カッコいい」へ導線をつなげて、「#カッコいい」を使用して、若者をシニアへ引き込み、その後に町づくりへ引き込みます。
(企画書アリ。現在、渋谷の若者及び観光局と連携中で、2021年中に動きます)
■今後のビジョンと計画
若者を巻き込んで、町づくりを行います。テーマは、フレイルと認知症とグリーフケアです。
介護保険サービスを使わないデイサービス(ノッポさんスタジオ)を構築します。
総じて、「楽しい町づくり」を演出していきます。
■事業名:介護情報誌クレセント
■事業者名:株式会社クレセント
■取材協力者名:瀬口 雄一郎(ノッポさん) (株式会社クレセント代表取締役)
■事業所住所:〒474-0035 愛知県大府市江端町5-22