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B’s行善寺

ごちゃまぜのまちづくり

 

(社会福祉法人佛子園、石川県白山市)

· 地域性:小都市,運営(起点):福祉,取り組み:交流拠点,資金:自己資金・介護保険,日本 JAPAN

〈コンセプト・特色〉

ごちゃまぜのまちづくり

〈取り組みの概要〉

石川県白山市にある出城地区(人口約1万人)を対象に「誰も排除しないまち」を目指し、老若男女、障がい、認知症の有無、健康な人もそうでない人も集まれる拠点づくりの整備を行い、コロナ以前は年間42万人を超える人たちが訪れる場所となっています。B’s行善寺は、誰でも利用可能な温泉や飲食店、フラワーショップ、スポーツジムがあり、それらは障がいのある方や地域の方の雇用の場となっています。そこに高齢者デイや児童デイ、保育園やクリニックなどの福祉や医療がある多機能施設です。

ここは地域住民が日常的に通う場所となっており、たとえ認知症のように福祉サービスが必要になったとしても、サービスを使いながらこれまでと同じ場所に通うことができます。こういったさまざまな人が入り混じる場所では、福祉サービスの利用者とそうでない人の垣根は見られにくいです。

地域の人々が集う場所に当たり前のように色んな事情の人がいて、それが地域の日常となっており、温泉では認知症の人と地域の人が、談笑しながら湯船に浸かっている姿を見ることができる。このようなごちゃまぜの場所では、福祉サービスにありがちな「マイナスな部分をケアする」というかかわりよりは、年を重ねていく姿やそれに伴う言動も含め、地域住民やスタッフが「その人を理解しようとするかかわり」がみられます。

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〈運営主体について〉

社会福祉法人佛子園は、お寺に戦災孤児を預かったことから始まり、昭和35年に社会福祉法人として開設しました。障がい児者の入所施設や就労施設、グループホーム、地ビール工場など120を超える事業を展開しています。なかでも廃寺を地域のコミュニティにリフォームしたのが、「三草二木 西圓寺」です。サービス付き高齢者向け住宅や学生住宅、障がい児の入所施設、温泉やライブハウスなどさまざまな人がかかわり、暮らす街「Share金沢」、そして先に述べた「B’s行善寺」、町に点在する空き家を再生し、町ごとコミュニティの場所として変えていく「輪島KABULET」は、高齢者も障がい者も健康な人もそうでない人もかかわりあうことができる日本の将来のコミュニティづくりのモデルとしても扱っていただいています。

〈取り組みをスタートした時期〉

2015年4月1日

B’s行善寺:障害児入所施設と隣接する特別支援学校分校の土地と一部建物を再利用しスタート

〈取り組みをスタートしたきっかけ〉

「地域のつながりが疎遠になってきた」「集まれる場所がない」「障がいや認知症の人のことは知っているが、どう接していいのかわからない」「新興住宅地に引っ越してきたママさんたちが交流の機会をもつ場所がない」「運動はしなければいけないのはわかっているが、歳をとってから一般のスポーツジムには行きづらいので気軽に行けるジムがほしい」「看護師さんにちょっと相談したいことがある」「支援が必要になったとしても年寄りだけで集められたくない」など、地域の声が取り組みの元となっています。

〈運営コスト〉

建設時に施設整備補助と地方創生で、ジムのマシン購入を行いましたが、日常の運営に関しては、特別な運営費用の補助はいただいておらず、さまざまな人が集まる場所を多機能化してつくることで、そこに需要が生まれ、福祉支援費や温泉や飲食等の販売収入、スポーツジムの会費収入といった運営資金が生まれています。

〈事業内容(B’s行善寺)〉

■スタッフ

計250名:常勤70名・非常勤135名・就労継続A型(障がい者雇用)45名

■事業

(高齢分野)地域密着型高齢者デイ・訪問介護

(障がい児分野)児童発達支援センター・放課後デイ・保育所等訪問

(児童分野)小規模保育園・放課後児童クラブ

(診療所)整形外科・リハビリテーション

(グループホーム)12軒

(地域生活支援)地域生活支援拠点・相談支援事業所・移動支援

(在宅支援)居宅介護・同行援護・行動援護・重度訪問介護事業

(就労項目)ウエルネスジム・温泉・そば屋・バーガーショップ・フラワーショップ・キッチンスタジオ・配食事業・ホテル清掃管理・廃油リサイクルeco事業 等

〈運営に必要な費用概算〉

事業活動収入:7億4,050万円

事業活動支出:5億7,909万円

※コロナの影響がなかった令和元年10月のもの

〈運営資金の確保〉

自費、介護保険

〈これまでに苦労したことと、それをどのように乗り越えてきたか〉

障がいや認知症があってもなくても、さまざまな人が集まれる場所をつくろうとすると、「縦割りの制度」と「ケアやリスク中心の支援制度」に阻まれることはよくあります。

しかし、高齢者は高齢者だけ、子どもは子どもだけ、といった縦割りから、住民のかかわり合いが減ってきている現状を「地域の課題」として行政や地域住民と話し合いを深めていくことが、地域のかかわりを増やしていくプロセスとなって地域の理解を深めることにつながっていきます。そのときに「リスク中心」で人とかかわるのではなく、「人と地域を信じてかかわる」ことが大切だと感じます。

〈うまくいっていること、やってよかったと思うこと〉

当施設には職員室というものがありません。職員室という壁を設けてしまうと、自分でアポイントをとることが難しい認知症高齢者などは、相談したいことを抱え込んでしまいます。職員は、施設内にある「住民自治室」と呼ばれる誰もが集まれる場所にて、固定の机ではなく、それぞれ仕事がしやすい場所で住民と一緒になりながら仕事をしています。そうすると、いつでも自分のタイミングで相談に来られることで、悩みが問題になる前に解消してしまうことが多いです。

また、人材面や地域の理解でいうと、福祉だけで運営していると福祉の人材しか集まらないため、人材不足となりがちですが、多機能で運営した場合、色んな職業の人材が集まり、人材不足にはなりにくいです。それらの福祉の経験がない人たちに福祉の理解を深めてもらい、福祉のスタッフは他業種の方に違う考え方を学ぶ。そこに多くの地域の方もかかわり、地域全体に福祉の考え方や認知症の方への理解が広がりやすいのです。

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〈うまくいっていないこと、今、悩んでいること〉

人が集まるといつもよいことだけが起こるとは限りません。たった2人でも、一人きりでも問題がないことはありません。それを前提として、人とかかわっていけば、うまくいかないことだらけでも悩みにはなりにくいと感じています。

〈持続させるための仕組み、工夫〉

福祉の専門家だけで地域全部の人を把握するのは難しいことです。地域の人を頼り、情報を共有することで地域がつながり、住民同士声を掛け合う。そんな地域であれば認知症があっても自分の暮らしてきた場所で過ごすことができるのではないかと考えます。

専門的なケアという点では、福祉の資格はあったほうがよいのでしょうが、福祉の資格や専門性は、ケアだけではなく「その人への理解を深める」という点に専門性をもっていくことが増えれば、その人を理解するために多くの人がかかわることになるだろうし、それがスタッフのモチベーションの持続につながり、さらに取り組みそのものや地域の持続につながっていきます。

〈今後のビジョン〉

佛子園は、石川県内とブータンで取り組みを行っていますが、この取り組みをJOCA(青年海外協力協会)が佛子園とジョイントベンチャーを組み、地方創生事業として全国に展開していってくれています。また賛同してくれる全国の他法人などとも取り組みを共にしています。

■事業名:B’s行善寺

■事業者名:社会福祉法人佛子園

■取材協力者名:速水健二(社会福祉法人佛子園三草二木行善寺施設長)

■事業所住所:〒924-0024 石川県白山市北安田町548-2

■サイト:bussien.com

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