〈コンセプト・特色〉
PEACE COIN(ピースコイン)は、心理・感情とトークンエコノミーを連動させるという、ブロックチェーン業界においても世界的にイノベーティブなプロジェクトです。
PEACE COINは、「まだ評価されていない価値」の分散型可視化プラットフォームです。法定通貨やGDPなどの現行のシステムでは評価がなされない多くの価値に対して、”ARIGATOCREATION”という新たなシステムにより、評価や感謝が届きやすいインセンティブ設計を行っています。
〈取り組みの概要〉
PEACE COINをベースとした独自通貨をつくり、その通貨を会社やコミュニティの中で送り合うことができるようになっています。
事例としては、トラストバンク株式会社様で開発・販売している障がい者福祉施設向けの業務支援システム「ポチパス」に、PEACE COINが連携予定です。「ポチパス」は、障がい者施設で働く方の毎日の仕事の記録、可視化と、体調(健康)や、知的・身体・精神の障がいごと、その方々の健康のバイオリズムを可視化するシステムです。このシステム上の記録データを元に、施設長さんや職員が定める軸によって利用者にPEACE COINの付与をします。
「お金」というものさしでは測れない活動に対して、コインの付与をすることで、新しい視点軸で労働意欲向上につながっていくことを目指しています。
世界中でPEACE COINプロジェクトが始まっています。コミュニティへの導入実例も交え、PEACE COINの特徴や状況について簡単にまとめた、Community Relations Reportをご覧ください。
〈運営主体について〉
「PEACE COIN OÜ」
PEACE COINは、PEACECOIN FOUNDATION(ピースコイン財団)を設立予定です。
財団はPEACE COINを利用するコミュニティの紹介・仲介等のプロジェクト立ち上げ時のサポート等のコミュニティマネジメントや、さまざまなプロジェクトへ寄付を行います。また、Proof of Thanksによる増大分を寄付し、さらに寄付分が回っていく財団などの設立を各地で進めていく予定です。寄付した地域が同じ仕組みで自立できるサステナブルな団体運営を可能にしていきます。
〈取り組みをスタートした時期〉
2018年6月
〈取り組みをスタートしたきっかけ〉
お金持ちはどんどんお金を増やせるけれど、本当にお金が必要な人の元へは届きにくい状況が多くみられます。世の中の格差は広がり続けており、今の金融の仕組みだけで世の中を変えるのは難しい現状があります。資本主義による富の集中化や、GDP成長モデルを前提とする現代の金融システムがもつ課題を克服し、「資本を独占する考え方」から「分け合う考え方」へ一歩進むことを目的に、このPEACE COINプロジェクトがスタートしました。
この事業の理念は、SDGsのゴール、#1「貧困をなくそう」に通じるものだと思います。人が手を取り、支え合うことで感謝が巡る新しい経済圏の創造を目指しています。
〈運営コスト〉
支援先の団体により異なります。ボランティア団体、NPOなどの費用をかけずにボランタリーなリソースのみで進める組織から、大手企業や自治体にて数百万円/月の予算にて運営しています。持続可能性を確保するためにそれぞれのビジネスモデルやコミュニティマネジメントの工夫が必要です。
〈運営資金の確保〉
自費、寄付、その他の公的補助、自治体予算
〈これまでに苦労したことと、それをどのように乗り越えてきたか〉
自律分散的な新しいソリューションなので、イメージが伝わらないことも多いです。乗り越えるというよりは、必要としてくれている方も多数いますので、理解できない方に無理に説明するよりも、タイミングをみていきましょう、というコミュニケーション上の工夫をしています。
〈うまくいっていること、やってよかったと思うこと〉
「自分が社会に適正に評価されていると思うか」というアンケートをとった際に、「評価されていない」と回答した人が80%もいました。今の社会というのは、お金を稼ぐということが重要であって、効率的に立ち回れる人が得をする世の中だと思っています。本当は、”気配り”や”優しさ”など、その人の本来の強みがもっと評価されてよいと思っています。PEACE COINというツールを使うと、どういう評価を周りからされているのかを感じとることができて、「そこはお金をもらう以上にうれしかった」という声が多く寄せられました。
一般企業で導入された際にも、なかなか数字で見えず評価の対象になりにくい”気配り”への御礼にコインを送り合ったり、上司から部下へ「連日夜遅くまでありがとう。あなたの存在が我がチームの宝です」というメッセージと一緒にコインの送付があったりと、優しさが循環するコミュニティ形成に貢献できていると思っています。
自分の行動を他人が価値あるものとして認め、感謝のコメントと共にコインが送られてくる、評価を体感できるツールです。
〈うまくいっていないこと、今、悩んでいること〉
ありがたいことに「PEACE COINのようなサービスを待っていた!」という反響を非常に多くいただいていまして、ご相談ベースで300件を上回り、サービス導入や説明を行う人手が足りないというのが困りごとの一つです。もっと便利で使いやすいサービスを作ることに力も注いでおりますので、その開発が大変です。
〈持続させるための仕組み、工夫〉
PEACE COINを導入・活用いただいているコミュニティの持続・サステナビリティを実現するためには、コミュニティの存在意義やビジョンを全体のコンセンサスを大切にしながら丁寧に構築していくことが重要です。困難にぶつかった時こそコミュニティの真価が問われ、進歩することができます。「コンセンサス型意思決定」というファシリテーションを導入することによって、コミュニティの納得解と全体最適を意識しています。
〈今後のビジョン〉
PEACE COINを通じて、我々が目指す自律分散型社会というのは、一言でいうと「みんなが、みんなのことを大切にできる社会」だと考えており、SDGsの概念に通じていると思っています。
我々は、このPEACE COINというサービスを通じ、先述の通りSDGsのゴールである、#1「貧困をなくそう」、#8「働きがいも経済成長も」に加え、世界的に導入が進んで行けば、#10「人や国の不平等をなくそう」や、#16「平和と公正をすべての人に」にも貢献できると考えています。
世界中で”ありがとう”の循環を促していきたいです。
■事業名:PEACE COIN
■事業者名:PEACE COIN OÜ
■取材協力者名:阿部 喨一(PEACE COIN OÜ CEO)
■事業所住所:Narva mnt 5, Tallinn, Harjumaa,10117,ESTONIA