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若年性認知症の人と家族の居場所づくり

一歩を踏み出すための作戦会議ができる場所

 

(一般社団法人はるそら、岡山県岡山市)

· 地域性:大都市,運営(起点):その他,取り組み:交流拠点,資金:自己資金・寄付・その他,日本 JAPAN

〈コンセプト・特色〉

一歩を踏み出すための作戦会議ができる場所

〈取り組みの概要〉

現在、岡山県内を中心に活動を行っています。安心して来ることができる場として事務所に、認知症のご本人が話をしに来たり、時には一緒に外に昼食を食べに行ったりしています。

2020年6月からは、月2回「はるそら本人ミーティング」と題して、認知症のご本人や、家族、支援者が生活するうえでの悩みや、不安、これからやってみたいことなどを気軽に話し合う場を始めました。同じ病気の人や、支援者とつながることで思いを共有することができ、情報交換の場となっています。参加者は、毎回10人から20人です。

その他に、「はるそらイベント」として、年に2回程度の日帰りのおでかけイベントを行っています。陶芸や、山菜採り、城下町散策をしながら、認知症のご本人、家族、支援者が交流を行っています。

また、2019年夏には、県外の認知症ご本人と三重県伊勢市でサーフィン、交流イベントに参加しました。2020年度は、新型コロナウイルス感染症対策として県外への往来を自粛しており、オンラインでの交流(ピアサポート)を行っています。

その他には、県内の大学の学生や、地域包括支援センター職員対象の認知症についての講演に、認知症のご本人と一緒に登壇して啓発活動を行っています。

〈運営主体について〉

「一般社団法人はるそら」

若年性認知症と診断された夫の経験を元に、その家族と、支援者が一般社団法人を立ち上げました。主体となっている家族、支援者は、医療、福祉の仕事の経験者です。医療法人やNPO法人などの介護保険事業などがあっての立ち上げではなく、1から立ち上げを行いました。

会員構成は、正会員、賛助会員です。会員種別については、正会員は、認知症のご本人、ご家族。賛助会員は、医療福祉専門職、企業の方など活動を支援する方となっています。

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〈取り組みをスタートした時期〉

2019年4月4日

〈取り組みをスタートしたきっかけ〉

法人の代表理事の夫は、42歳のときに若年性認知症と診断されました。当時は、「数年で寝たきりになり亡くなる」といわれるだけで、夫の今後の生活の見通しや、金銭的な不安、子育てとの両立などについて必要な情報を得ることができませんでした。

転機となったのは、勉強会や、RUN伴で出会った仲間と一緒に活動したことで、進んで行動することの大切さを痛感し、夫と同じように、家に引きこもって症状が進んだり、不安を抱えてしまったりする人が一歩前に進むことができる場をつくりたいとの思いから、「一般社団法人はるそら」を設立しました。

〈運営コスト〉

現在は、代表の持ち出しでの資金が多く、その他の資金は会員費、寄付となっています。ホームページでの会員募集や、フェイスブックを活用した情報発信を行っています。また、介護保険事業などは行っておらず、独自に事務所を借り、運営しています。相談者がアクセスしやすいよう、岡山駅に近い事務所にしています。

それぞれの事業について、現在補助金事業に申請中です(2020年3月現在)。

事業として持続可能性を確保するため、今後、認知症のご本人が就労できる仕組みづくりや、相談支援事業を行っていきたいと思っています。

〈運営に必要な費用概算〉

6万円/月

〈運営資金の確保〉

自費、寄付、会費

〈これまでに苦労したことと、それをどのように乗り越えてきたか〉

はるそらは、介護保険事業でも医療機関でもないため、はるそらの活動を理解してもらうことに苦労しました。地域に活動を応援してくれる人もおらず、1からの立ち上げだったので、どこから伝えたらよいのか悩みました。

認知症のご本人が開設当初から事務所に通ってくれるようになり、その方を中心にどうやったら地域へ認知症の理解が進むのかと考えるようになりました。活動を行う中で本人から、「本人ミーティング」をしたいという声があったり、出かけたいというところから、一つひとつの活動や事業が始まっています。本人が主体的に活動して、自信をもつことができています。

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〈うまくいっていること、やってよかったと思うこと〉

本人ミーティングを開催することで、本人や家族を中心に居場所になっています。つながったことで、本人からも、家族からも、「ほっとした」「安心できる場所ができた」という言葉をもらいました。また、本人や家族が認知症について、あきらめを感じていたことが、環境や、人との出会いで捉え方をよい方向に考えることができるようになっていきました。

色んな世代が交流することで、お互いが知らないことを教え合ったり、励まし合ったりすることができ、認知症というテーマだけでなく、人生において必要なことを学び合うことができて、成長し合っていると感じています。

〈うまくいっていないこと、今、悩んでいること〉

中心となって活動しているメンバーは、代表は岡山市在住ですが、その他は岡山県外のため、地域にもっと理解者や一緒に活動をしてくれるパートナーが増えたらと思っています。代表が体調不良で事務所に行けないときに代わりに出られるスタッフもいないため悩んでいます。

新型コロナウイルス感染症のことや、活動を増やしていく中で、現在の事務所では手狭なので移転するか検討しています。運転免許の返納などで、公共交通機関で来られる方が多く、目印となる場所や大きな駅の近くの方がよいと思っていますが、なかなか物件がありません。

〈持続させるための仕組み、工夫〉

資金的に持続させることができているかというと、持ち出しでの資金であり、利益を生む仕組みづくりはできておらず、今後の課題となっています。継続して、メンバーさんが来ることができるように、集まる機会としての「本人ミーティング」の開催や、家族が気軽に情報交換できるように、LINEグループを活用しています。

専門職が中心となった場では、生活でできないことを聞かれ、身体の機能のことなどの話が中心となることが多くなりますが、はるそらの会の中では、認知症の話題だけではなく、昔の話や近況を話し合ったりと、まじめな話から、楽しい話、つらい話を共有することで、思いを話すことができるようにしています。そして、支援する側、される側という話ではなく、誰もが参加できる話題を取り入れるようにしています。

また、他県で同じような活動をしている団体とつながり、イベントや、オンラインでの交流を行うことで情報交換などを行い、ヒントをもらっています。

支援者が情報提供や活動についての声かけを率先して行うのではなく、本人を中心に活動するということが活動を持続できている一番の要因であると思っています。

〈今後のビジョン〉

はるそらのように気軽に色んな話ができる場が増えてほしいと思っています。そして、専門職でなくても、地域で認知症の本人の理解者となる人や、パートナーが増えるような活動をしていきたいと思っています。具体的には、本人も働くことのできるコミュニティカフェの運営等、居場所づくりを行っていきたいと思っています。どのような形態となるかわかりませんが、認知症の本人の思いを中心に活動を続けていきたいと思っています。

それが、SDGsが掲げる「誰一人取り残さない」地域を、認知症の人もそうでない人も、みんなでつくっていくことにつながると思っています。私たちは、「安心して認知症になれる」「認知症とともに生きる」地域づくりをすることが、すべての人にとっての暮らしやすさにつながるものと考えています。

■事業名:若年性認知症の人と家族の居場所づくり

■事業者名:一般社団法人はるそら

■取材協力者名:多田 美佳(一般社団法人はるそら代表)

■事業所住所:〒700-0023 岡山県岡山市北区駅前町1丁目10-20 2階

■サイト:https://harusora0404.amebaownd.com/

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