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宅老所はいこんちょ

地域に住む高齢者の、その人らしい生活を最期まで支援

 

(合同会社はいこんちょ、栃木県鹿沼市)

· 地域性:小都市,運営(起点):介護,取り組み:社会参加・その他,資金:介護保険・その他,日本 JAPAN

〈コンセプト・特色〉 

地域に住む高齢者本人を主役にしてその人らしい生活を最期まで支援する。高齢者デイサービスをとっかかりにして、そこから多様な地域ニーズに貢献する事業所。 

〈取り組みの概要〉 

介護保険の地域密着型通所介護を定員15名で365日営業しています。さらに独自事業として、自費でのお泊まりサービスや早朝、延長利用、自費での訪問介護やボランティアなどを組み合わせて運営しています。 

ベースは、日中朝から夕方までの通所介護の支援ですが、特色は、半日利用や短時間の利用にも積極的なところです。他にも、デイに行かない人(なかなか踏み出せない方や、利用の拒否が強い方など)にも、声かけだけ行うこともあります。 

全体像は小規模多機能施設のようにも見えますが、あくまでも介護保険上では「地域密着型通所介護」であり、その他の訪問介護やお泊まりのサービスは必要な方だけに「自費」で提供しています。 

〈運営主体〉 

「合同会社はいこんちょ」 

〈取り組みのスタート時期〉 

2014年4月1日に栃木県鹿沼市にて小規模デイサービスをオープンしました。 

〈取り組みをスタートしたきっかけ〉 

元々、僕は長野出身で、大規模特養にて約10年介護職として働いていました。ちょうど長野の施設に在職中、長野北部地震で震度6強の地震に被災したことと、特養にいた祖母を自宅に連れて行き、最期を看取った経験から在宅サービスでいつか独立したいと思うようになりました。栃木県で始めた理由は妻の実家が鹿沼市だったので、妻の地元なら始めてもいいと妻が許可してくれたからです。 

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〈運営コスト〉 

妻も以前の特養で介護職をしていて、2人で500万円貯めました。銀行からの借り入れが350万円なので開設資金は850万円でした。事業として持続可能性を確保するための工夫は、いやらしい話ですが、夫婦でやることだと思います。夫婦経営は賛否両論ありますが、僕らの場合は、たまたまメリットを最大限活かせることができました。妻が現場監督を行い、僕は経営や営業担当でした。お互いがうまく役割を担うことで経営が成り立ってきたのだと思います。経費に関しても、経営が軌道に乗らないうちは妻の給料を支払い、僕と息子2人を食べさせてもらっていました。まさに生存戦略としての夫婦です。 

〈運営に必要な費用概算〉 

今現在の諸経費は300万円/月くらいです。 

※収入は350万円くらいです。 

〈運営資金の確保〉 

・運営資金は、主に介護保険の報酬 

・他に自費のサービス報酬 

・事業の一環としてイベントを行うこともありますが、参加費と諸経費は相殺されます。 

〈これまでに苦労したことと、それをどのように乗り越えてきたか〉 

妻は、始める半年前から、始めた1年半後までの約2年間、デイサービスのことを学んだり、資格がない方に教えたり、仕組みをつくったりして、大変でした。 

自分は、始めてからの1年半は、利用者さんがいないつらさや、収入がないつらさから軌道に乗る前の不安定飛行で心も身体も一番つらかったです。 

夫婦で役割を分けて、協力しあってこられたからこそ今があると思っています。 

〈うまくいっていること、やってよかったと思うこと〉 

やりたい介護を試行錯誤できる環境が広がりました。そのことで発信したり、思いに共感してくださる方も出てきたりしたため出逢いも増えました。夫婦一緒に運営していることで、子育てがしやすいと感じています。妻は、職員のケアスキルが上がってきた瞬間を目撃したときや、職員が資格を取得したとき、お年寄りの特徴的な行動をきっかけに介護の質が上がったときにやっていてよかったと感じているようです。 

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〈うまくいっていないこと、今、悩んでいること〉 

妻は・・・小さい声で(ないんだよ) 

僕は悩みがないことが悩みです。小さい悩みは腐るほどあるのですが、大きな悩みは、不思議なほどないのです。 

〈持続させるための仕組み、工夫〉 

お年寄りと職員の翼を折らないように、やりたいことや困っていることを助けるのではなく、支え合えるようにケアしていくのを意識しています。制度にあてはまらないものや、お金にならないことでも依頼があれば力を注ぐようにしています。まわりまわって自分に返ってくることがあります。 

スタッフについては、気にしていることがありまして、20代の若いスタッフは多めにしていることと、各世代30~60代までまんべんなく採用しています。世代ごとの強みを生かしてもらうことで職場環境もよくなっていっています。 

〈今後のビジョン〉 

第2はいこんちょを開設して、利用希望の受け皿を広げることと、開設時からの悲願である最期まで支援する仕組みや体制を整えることを目指しています。ありがたいことに開設して2年目からずっとほぼ満員状態が続いています。嬉しいのですが、逆に利用希望の依頼が来てもお断りすることが多くなってきています。開設して1年目はお年寄りが全然来なかった経験をしているので、はいこんちょを使いたいと言ってくれた期待に応えられないのが心苦しかったのです。 

今いるスタッフが協力してくれて妻と相談し、ついに2軒目を始めることにしました。目的は、はいこんちょを利用したいお年寄りと家族のニーズに応えることと同時に「通い慣れたはいこんちょで最期まで看てほしい」というお年寄りと家族の期待に応えたいと思っています。なので、お泊りを充実させて家族と一緒に最期まで看られる場所、機能を付け加えた新生はいこんちょを開設8年目にしていきたいと考えています。めっちゃワクワクドキドキしています。地域で生まれて死ねる場所を目指して、地域と歩んでいきます。 

■事業名:宅老所はいこんちょ 

■事業者名:合同会社はいこんちょ 

■取材協力者名:小林 敏志(合同会社はいこんちょ代表) 

■事業所住所:〒322-0005 栃木県鹿沼市御成橋町1-2406-8 

■サイト:http://xn--eck8am7c4cyny739a0gxd.com/ 

■取材・まとめ:鈴木 隆浩(居宅介護支援事業所勤務) 

■取材時期:2021年2月 

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