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SHIGETAハウスプロジェクト

「安心して認知症になれるまち」の実現

 

(一般社団法人栄樹庵、神奈川県平塚市)

· 地域性:中都市,運営(起点):その他,取り組み:交流拠点・啓発,資金:寄付・その他,日本 JAPAN

〈コンセプト・特色〉

神奈川県平塚市にある一軒家「SHIGETAハウス」が、地域の拠り所として必要とされ、「安心して認知症になれるまち」の実現を目指す取り組み

〈運営主体について〉  

「一般社団法人栄樹庵」

代表理事:繁田 雅弘(医師、東京慈恵会医科大学精神医学講座教授)

理事:大澤 誠(医師、あづま会大井戸診療所理事長)、内門 大丈(医師、湘南いなほクリニック 院長)、早川 景子(編集者・ライター)、加藤 博明(税理士、加藤博明税理士事務所代表)、竹中 一真(弁護士、弁護士法人LM総合法律事務所代表)、繁田 栄子

〈取り組みをスタートした時期〉

2019年4月24日

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〈概要〉

コンセプトをもとに次の3つの軸で取り組みを進めています。

①認知症をもつ人とその家族にとって安心できる場

②地域の人のための場

③認知症の啓発の拠点

******************************************************

①認知症をもつ人とその家族にとって安心できる場

・「平塚カフェ(認知症カフェ)」:毎週火曜日開催。参加者は毎回20名前後。認知症をもつ人と、認知症をもつ人の家族とスタッフだけのカフェとなっています。その日のメニューなどはなく、したいことをして過ごすカフェです。最近では、木彫り、ウクレレ、コーヒーを美味しく入れる、といったことを、やりたい人たちの間で楽しんでいます。2021年7月からは、平塚にある「まちなかベース きちきち」をお借りして、「認知症についてお話ししましょう」という「平塚カフェ 別室」(だれでもカフェ)の開催も始まります(毎月第一木曜日)。

・「音楽を楽しむ会」「土と畑を楽しむ会」「散歩を楽しむ会」「走るを楽しむ会」など:不定期開催。参加者は毎回10〜50名。認知症をもつ人と好きなこと・したいことを一緒に楽しみます。平塚カフェでの話題をきっかけに実現しています。平塚市にあるグループホームやデイサービスを運営する法人との協力により、法人の利用者の皆さんにも参加していただくことがあります。

②地域の人のための場

・「だれでもカフェ・オンライン平塚カフェ」:新型コロナウイルスの感染症が拡大する前は対面で、月に3〜4回開催。参加者は毎回20名前後。現在は毎月第一火曜日の19時よりオンラインにて開催。参加者は毎回50名前後。認知症の枠にとらわれずに、誰もが気軽に参加できる場を提供することで地域交流の場とします。オンラインで開催するようになり、日本各地から参加者が増えています。

・「みんなの遊び場」:毎週火曜日の16時から17時ごろ。塾帰りの子どもたちが、みんなでおしゃべりをしたり、卓球をしたりするために訪れてきます。

・「中学生との交流」:近隣の中学校の福祉委員との交流。中学生の「だれでもカフェ」参加、中学校での認知症サポーター養成講座の開催、中学校の花壇に花を植えるなど。

・企画展開催(三橋昭 幻視・原画展):2020年12月開催。6日間で参加者約70名。SHIGETAハウスで企画展を開くことにより、地域の人たちが認知症を正しく知る機会につなげるだけでなく、SHIGETAハウスを知ってもらうことにつなげます。

③認知症の啓発の拠点

・「SHIGETAの学校」「SHIGETAの学校 特別企画」:毎月1回ほど開催。参加者は各企画20〜100名。「SHIGETAの学校」は、繁田雅弘医師による、認知症についてともに学ぶ時間です。「SHIGETAの学校 特別企画」は、ゲスト講師をお招きして、ともに学ぶ時間です。認知症に正しく向き合うために、だれでもがともに学ぶ時間となっています。認知症をもつ人をはじめ、医療・福祉の専門職など、さまざまな方が参加されています。

・「いのちの授業」:年に2回程度開催。参加者は100〜200名前後。中学校に医師が訪れ、自分の体験を語りながら学生と一緒に学ぶ時間です。

・世界アルツハイマー月間を中心に、地域のプロのバスケットボールチームの選手、サッカークラブとともに啓発イベントを実施し、多方面から認知症を正しく知ってもらうことにつなげています。

現在、新型コロナウイルスの感染症が拡大していることから、世の中が活動自粛ムードの中、できることを考え、切れ目のない活動を検討・実施しています。直接会うことを大事にしたい「平塚カフェ(認知症をもつ本人と家族のみ参加)」は一時お休みしていましたが、2020年7月から再開。平塚カフェ(だれでもカフェ)、SHIGETAの学校、SHIGETAの学校特別企画は2020年4月ごろからオンラインにて開催し続けることにより、遠方からの参加者も増え、あらゆる人と情報交換ができるという新しい形を創出したことで、今後は海外にもつながることもできるのではないかとも考えています。

〈取り組みのきっかけ〉

認知症専門医である繁田雅弘医師(東京慈恵会医科大学教授)のお母様を診ていた内門大丈医師(湘南いなほクリニック院長)が、繁田医師のお母様が施設に入ることをきっかけに空き家となった家を、地域医療や福祉のために使えないかと繁田医師に提案。繁田医師とお母様が「ぜひに」と言ってくださり、この家を「SHIGETAハウス」と名付けて、活動がスタートしました。

〈運営コスト〉

資金調達や持続可能性確保のために最も重要なことを、支援者の拡大ととらえています。栄樹庵メンバーの皆さんからは会費を、「SHIGETAの学校」「SHIGETAの学校 特別企画」の参加者から参加費などもいただいていますが、最低限の運営資金になるのが実情です。

「持続」は、「発展」なくして、なし得ないので、プラスアルファの活動ができる資金調達をすることが必須となります。そのためには何が必要か? と考えたとき、キーとなるのは支援者の存在です。

SHIGETAハウスがそこにあってほしい、と思ってもらえる質の高い活動をして発信していくことで支援者が集まり、そこに活動資金が生まれる、そしてまたよい活動ができるということを循環させるような仕組みを模索しながらつくっています。

現在、SHIGETAハウスプロジェクトの考えに賛同いただいた支援者の皆さんに、参加費にプラスアルファの支援金をいただく、栄樹庵メンバーとして会費を払っていただく、寄付をしていただくなど、応援をしていただく形で資金調達につながっており、このループ拡大が事業の持続可能性につながると考えています。

〈運営に必要な費用概算〉

約30万円/月

〈運営資金の確保〉   

寄付、開催する講座の参加費、動画視聴などの特典がある栄樹庵メンバー(会員)の会費〈持続させるための仕組みや工夫など〉

2021年度に向けて、私たちが、SHIGRTAハウスプロジェクトを通じて、何をしたいのか、何を成し遂げたいのかをあらためて全スタッフに投げかけています。SHIGETAハウスプロジェクトでは、「認知症」を自分事として考えるという取り組みを以前からしており、全スタッフにも、私たちの活動が、各々自分たちの活動として意識してもらいたいと考えています。このことにより、活動の方向性を見失うことなく、スタッフのモチベーションを保っていくようにしたいと考えています。私たちの活動を、SNSなども利用しながら、より多くの人に伝えていくことにより、途切れることのない皆様からの支援・協力がいただけることを目指しています。

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〈これまでに苦労したことと、それをどのように乗り越えてきたか〉

認知症をもつ方、そのご家族は診断がついた段階から、その状況に身をおかれ、何もわからないところからスタートすることがほとんどです。

そのサポート方法を悩むこともあり、いろいろと模索し、スタッフ内で意見交換することもありましたが、以下の形式を、老健事業を通じて体系的に整理し、それを平塚カフェを中心とした活動の礎とすることで、前進することができています。

① ご本人と家族それぞれの見えている景色で関わるピアサポート

② 地域の人たちとの関わりの場をもつ認知症カフェ

③ 本人・家族、と分けることなく、家族単位でサポートするミーティングセンター

また、その時その人折々で顔を変えることのできる居場所となる大切さや、自信をなくして立ち寄った人が、自信を取り戻して、この場所から卒業し、本来の自分の場所に帰ることができることもまた、この場所の役目であるという認識をもつことも重要であるということを、関わる人間が心に留めておくようになりました。カフェの形式も時折、場合に応じて変化させるようになりました。

〈うまくいっていること、やってよかったと思うこと〉

平塚カフェ(認知症カフェ)には、チラシや地域情報誌を見て、クリニックに紹介されて、などいろいろなきっかけから、認知症をもつ人やその家族、専門職、そのほかの方々が集まってきます。現在、認知症をもつ人や家族のみのカフェとなっていますが、多くの人は継続して通っています。最初にいらした時よりも馴染みの関係になり、笑顔が増えてきます。特に、介護保険につながっていない人にとっての通いの場(サードプレイス)となっています。そのほかの活動も継続しており、参加している皆さんと一緒に学んでいくことができていたり、新たなつながりが生まれたりすることを実感しています。

〈うまくいっていないこと、今、悩んでいること〉

資金調達に関しては模索し実行に移している段階であるため、今後の継続的な課題です。

それに加えて、資金運営に関しても今後活動拡大をしていくうえで課題となる部分と考えています。

大きくは人件費に関わる部分です。主軸の活動が広がるにつれて、事務作業や広報活動も多くなり、付随する作業へのマンパワーが必要となります。

〈今後のビジョン〉

認知症の初期の支援や医療・介護のサポートにうまくつながらない人たちの支援を充実させたいと思います。認知症の診断を受ける前から、もの忘れなどで悩む本人やその家族、認知症の診断から間もない本人やその家族とつながることができるように、地域の皆さんとともに活動を続けます(認知症の診断前や診断後の不安や孤独感をもつ人をほうっておかない)。そして、今後の活動そのものを、認知症の本人とその家族と一緒に考えることもしていきたいと思います。

皆さんが「SHIGETAハウスでともに活動したい」「自分のまちにもSHIGETAハウスがあったらいいな」と感じてもらえるような活動を続けること、そして、SHIGETAハウスのような居場所を自分の住む町にも作ろうとする人たちの行動支援ができる「ホーム」を目指したいと思います。

■事業名:SHIGETAハウスプロジェクト

■事業者名:一般社団法人栄樹庵

■取材協力者名:早川 景子(一般社団法人栄樹庵理事)

■事業所住所:〒254-0046 神奈川県平塚市立野町28-27

■サイト:https://shigetahouse.org/

https://8eight.org/

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